第143回 93歳のレジェンド
5月24日、SGCホール有明で行われた渡辺貞夫さん(ナベサダ)のライブを観てきました。
一言でいうと、圧倒されました。いろいろと考えさせられました。大げさに言うと、人生を見つめ直しました。
ナベサダは1933年生まれ、御年93歳の現役ジャズサックス奏者です。
高校卒業後演奏活動を開始したそうですから、なんと75年の演奏歴!
20代後半には米国バークリー音楽院に留学し、本場のミュージシャンとも多く共演しました。
「ジャズの枠」にとらわれず、ボサノヴァやアフリカ音楽の要素を取り入れたり、フュージョンアルバムを発表したり、常に日本のジャズ界をリードしている、レジェンド中のレジェンドです。
何度かライブに足を運んだことがありましたが、10年以上前のこと。正直、「以前のようなパフォーマンスではないだろうな…」と思いつつ、椅子に座りました。
一曲目から衝撃でした。
記憶していた音と全く違いました。人生を卓越したといいますか、温かくも清らか、迷いがない感じです。
しかもパワフル。枯れるどころか、どんどん進化していました。
「 My Dear Life 」という曲を聞いたら、図らずも涙があふれてきました。
優しく、包み込むように、心に染み込む音色。
人生のすべてが凝縮されているように感じました。
私は、11月で還暦。「 30年後に、こんなにも影響力のあるパフォーマンスができるだろうか? 」と思いました。
また逆に、「 あと30年あったら、まだまだやれる事は沢山ある 」 とも思いました。
ヘビースモーカーだったそうですが、70歳代にタバコを止めたそうです。
変わっていく自分の身体を認めながら、ありたい自分であるために、日々考え、行動の質を上げ、やるべきことを実践しているのだと思います。
颯爽と生きているレジェンドを目の当たりにし、興奮を抑えきれない人たちの前向きな言葉が聞こえてきます。そんな話を聞き、余韻に浸りながら、駅へ向かったのでした。 ( 文: 松浦 政彦 )
