たった3ヶ月に一度、で未来が変わるとしたら?
――30年後のあなたに「ありがとう」と言われるために
こんにちは。歯科医師の松浦直美です。
「デンタルサロンの窓から」へようこそ。
2010年に当院を開院したとき、私たちはある言葉を掲げました。
「痛くなくても来てください」
「痛くなったら行く場所」ではなく、
「健康を守るために通う場所」としての歯科医院。
そしてその考えを、科学的に力強く裏付けてくれたのが、
スウェーデンのアクセルソン博士たちによる、ある壮大な研究です。
30年間で、歯をほとんど失わなかった人たち
舞台は北欧、スウェーデン中部の町カールスタッド。アクセルソン博士(Per Axelsson)率いるチームは、ある壮大な研究をなんと30年に渡って続けました。
30年もの間、研究のために何をしていたのか?
何か特別なこと?
・・・いいえ、彼らが行なっていたのは、以下の3つのシンプルなことです。
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患者への説明とセルフモニタリング支援
患者が自分の口腔内の状態を理解できるよう、わかりやすく説明。自分の変化に気づけるようにします。 -
ブラッシング指導とセルフケアの強化
毎回の来院時に、正しいブラッシングやフロスの使い方を確認・指導。生活習慣の定着を図ります。 -
PMTC(プロによる歯面清掃)
歯科衛生士などの専門家が、専用の器具で歯垢(バイオフィルム)や歯石を徹底除去。セルフケアでは届かない部分をクリアに。
たったそれだけを、3ヶ月に一度、30分ほどのケアを30年続けただけで――
その患者さんたちは、1人あたり平均0.4本しか歯を失わなかったのです。
これは、何もケアを受けなかった人たちと比べて、10倍以上の差と言われています
(Axelsson & Lindhe, 1981/Axelsson et al., 2004)。
この数字は、ただの統計ではありません。
**「歯は、守れる」**という事実を私たちに突きつけた、希望の数字だと思いませんか?
歯を守る人は、人生を守っている
私が長年診療してきて感じるのは、
「歯が健康で、しっかり噛んでいる人は、表情も姿勢も声も違う」ということです。
80代になっても20本以上の歯を保ち、
「虫歯ゼロ」「口臭なし」「はっきりとした声」「堂々とした姿勢」――
そんな方々には、若々しさと凛とした美しさが漂っています。
「しっかりとした歯がたくさん残っている」ということは、
見た目がよく、食事がしやすいというだけではありません。
人と話すことが楽しくなり、笑顔が増え、
自分らしく社会の中で関わっていける自信につながっていくのです。
そして何より見逃せないのは、歯周病と全身疾患との深い関係です。
歯周病は、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中、さらには認知症のリスクを高めることがわかってきています。
つまり、定期的な歯科メインテナンスは、
歯を守るだけでなく、「体と人生」を守る行動でもあるのです。
3ヶ月に一度の時間は、確保可能!
3ヶ月に一度、歯医者に行くなんて大変。
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、美容院や床屋、ネイルサロン、まつ毛エクステには1〜2ヶ月ごとに予約を入れている方も多いはず。
ヨガ教室には、1週間に一度、行っていませんか?
歯のメインテナンスも、それと同じ「自分のためのケア」なのです。
しかも歯科は、たった40分ほど、3ヶ月に一度。
費用も、保険適用で3割負担の方でも3000円台。
時間と予算をつくることは、多くの方にとって簡単なはずではないでしょうか。
忙しい方へのおすすめは、「メインテナンスが終わったら、その場で次の予約を入れてしまうこと」。
予定帳やスマホのカレンダーに入ってしまえば、意外と予定を動かさないもの。不思議と続けられるものです。
歯科は「治す」場所から、「守る」場所へ
デンタルスクエアもりおか青山では、スイスEMS社の最高メインテナンス機種を使用したGBT(Guided Biofilm Therapy:ガイデッドバイオフィルムセラピー)メンテナンスを導入しています。
染め出しで磨き残しを“見える化”し、優しいパウダーで歯と歯ぐきを傷つけずに清掃し、虫歯や歯周病の早期チェックと次回メインテナンスのご案内まで、一貫した快適なケアを行います。
歯や歯茎に残っている汚れ(バイオフィルム:細菌の塊)を破壊するために行うPMTC(プロフェッショナルクリーニング)のやり方は、歯科医院によって少しずつ違いがありますが、このエリスリトールパウダーを使用したパウダークリーニングは、おそらく最も効果的に、歯を傷つけずにバイオフィルムを破壊、除去できる方法であると思っています。
このような習慣を続けることで、定期メインテナンスは単なる“歯の掃除”ではなく、「歯を守る」「健康を守る」「人生を守る」ための、大切な時間となるのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
デンタルスクエアには、毎月800人もの方が、GBTメインテナンス(ガイデッドバイオフィルムセラピーメインテナンス)を受けに通院されています。
セルフケアの確立と、定期的なバイオフィルムの除去、なんでも相談できる歯科医院の存在。
この3つが合わされば、生涯歯のことで困ることはないと言っても過言ではありません。