これからの歯の治療は「どう生きたいか」を考えることから
先日、雑誌『婦人画報』で目にした記事に、思わず何度も頷いてしまいました。
エッセイストの広瀬裕子さんが、60歳を迎えて「歯の治療」について歯科医と語り合うという内容。
タイトルは《これからの“体のメンテナンス”は、この先どう生きていきたいかを考えること》というものでした。
広瀬さんは、エッセイストであり、空間設計の仕事も手がける多才な方。
自分より何歳か上の年代で、本当に素敵な仕事、生き方をしているロールモデルとして憧れています。
そんな広瀬さんが、歯の定期メインテナンスのことを書いている。
思わず読んでみたら、その文章は本当に彼女の生き方、やインスタグラムの世界観と同じ。
「歯のメインテナンス」という、一見殺風景になりがちな話題を
読むものを惹きつけるおしゃれで印象的な文章に変えていました。
そんな文章を読んでいて感じたのは、「ああ、まさにこの考え方が、これからの歯科医療には必要なんだ」ということ。
私たちの医院には、40代後半から70代くらいの患者さんも多く通われています。
ただ、歯の治療やメインテナンスに通うことを、「これからの生き方を考える」きっかけにしている方は
あまり多くないかもしれません。
広瀬さんも同じように、60歳を迎えた今、「これからどんなふうに生きていきたいか」が、体のケアや治療のあり方にも関係してくると語っていました。
これまでは「痛いところを治す」だった歯医者も、「これからを心地よく生きるためにどうケアしていくか」を一緒に考える場所へと変わってきている——まさにそう思います。
記事の中では、インプラントやブリッジ、入れ歯といった治療方法も、今の状態だけで選ぶのではなく、「この先の生活スタイルや、自分の希望する生き方」によって選んでいくというお話が出てきました。
たとえば――
● 旅行が好きで、長時間の移動や外食も多いから、違和感のない快適な義歯がいい
● お孫さんとの食事が楽しみだから、しっかり噛める状態を維持したい
● 自分らしくいたいから、見た目にも自然な歯にしたい
そんなふうに、歯の治療は「これからの人生の設計図の一部」として、じっくり向き合うものなのだと思います。
私自身、50代後半になり、同じように「この先の人生をどう生きるか」をよく考えるようになりました。だからこそ、患者さんとお話するときも、ただの“治療”ではなく、“人生のサポート”として関われたら…と思うのです。
歯の治療は、単なる修理ではありません。
噛めること、話せること、笑えること。
そのすべてが「生きること」につながっています。
歯科医として、「いまのお口の状態」だけでなく、「これからどうありたいか」「何を大切にしたいか」を一緒に考えながら、その方にとって一番よい方法をご提案できたらと思っています。
予防も、治療も、美しさも、快適さも。
どれも“これから”のためにあるもの。
60歳という節目を迎える方も、まだまだ先だと思っている方も、「これからどう生きていきたいか」を考える時間が、歯のメンテナンスのきっかけになるかもしれません。
そんなお話を、ゆっくりと診療室でできたらうれしいです。
今日も、あなたの未来の笑顔を大切に。
副院長 松浦直美